東京高等裁判所 昭和24年(を)3475号 判決
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(理由)
職權を以て記録を調査するに、原審第四回公判において檢察官が證人谷口高次を尋問するに際し證人が警察で取調を受けたとき斯樣に述べているが事實相違ないかと發問し同證人の司法警察員に對する第一回供述調書全部を讀聞け(調書添付の證人の署名捺印ある別紙はこれを展示朗讀する)た上裁判所に同調書を提出し裁判所はこれを受理した上公判調書作成に際し右供述調書を公判調書に添付しこれを記録に編綴し更に同公判において證人大阪德藏、同出崎秀恒、同坂下春藏、同小杉權平、同信田金太郞、同土屋久太郞、同中村百太郞、同桝潟吉次郞同小山春藏の尋問が行はれ略々前同樣の經過により右大阪德藏の司法警察員に對する第一回供述調書出崎秀恒の檢察官に對する第一回供述調書同人の佐渡地區警察署長宛上申書、同人の被害申告書、坂下春藏の被害申告書、小杉權平の檢察官に對する供述調書、同人の司法警察員に對する供述調書、同人の佐渡地區警察署長に對する被害申告書、信田金太郞の檢察官に對する第一回供述調書同人の司法警察員に對する供述調書、土屋久太郞の司法警察員に對する供述調書、中村百太郞の司法警察員に對する供述調書、桝潟吉次郞の檢察官に對する第一回供述調書、同人の司法警察員に對する供述調書、小山春藏の檢察官に對する第一回供述調書がいずれも檢察官より提出され、前同樣第四回公判調書に添付され記録に編綴されたこと、第五回公判において、證人本間淺吉に同池田仁作、同堀部佐一が尋問せられ、略前同樣の經過により、本間淺吉の檢察官に對する第一乃至第三回供述調書、同人の司法警察員に對する昭和二四年七月九日附及び同月二七日附供述調書、池田仁作の檢察官に對する第一回供述調書、同人の司法警察員に對する供述調書、堀部佐一の檢察官に對する第一回供述調書がいずれも檢察官によつて提出され、前同樣第五回公判調書に添付せられた記録に編綴されたこと、第六回公判において被告人が質問を受け、略前同樣の經過により被告人の檢察官宛、昭和二四年七月二二日附及び同月二九日附各上申書、裁判官宛上申書謄本がいずれも檢察官により提出せられ、前同樣第六回公判調書に添付され記録に編綴されたことは、いずれも原審第四乃至第六回公判調書の記載並びに右供述調書その他の記録に編綴された状況により明白である。敍上の供述調書その他の書面は本來證書類たるべきものがあつて、これが裁判所に提出せられ、記録に編綴されるがためには刑事訴訟法に定める所要の證據調手續を經るを要することは論を俟たないところである。本件において檢察官は必ずしも證據として援用する意味で右書面を裁判所に提出したものではないと認められるがかかる書面の提出方法は刑事訴訟法上何等の根據なく裁判所はこれを受理すべきでなかつたに拘らず原裁判所は漫然これを受理し檢察官の發問内容を公判調書に引用するため調査の末尾に浮付しこれを記録に編綴したのであつて、たとえこれを證據書類として記録に編綴する意味ではないとしても、結局證據書類が適式の證據調の手續を經ずして裁判所に提出されたと同樣の結果を來し刑事訴訟法が證據の取調につき嚴格な手續を定めた法意に反するものであつてかかる手續は刑事訴訟法に定める手續に違背するものと謂はざるを得ない。而して右書面はその大部分本件犯罪事實に關するものであり、右訴訟手續の違背が判決に影響を及ぼすこと明らかであるから、原判決はこの點において破棄を免れない。